nikki2002

２００２／１０／２１

引き続きパトリック・スチュワート様いもづるの日々です（笑）。

『ＭＡＫＥ　ＩＴ　ＳＯ
Ｌｅａｄｅｗｓｈｉｐ　Ｌｅｓｓｏｎｓ　ｆｒｏｍ　STAR TREK THE NEXT GENERATION』
噂に聞いた、「ピカード艦長に学ぼう！」のビジネス書（笑）！ペーパーバックなど読める英語力はないのですが、本の存在自体がギャグ？というくらいウケてしまったので、ついムボーにも買ってしまいました。「艦長話はツカミに使うだけで、あとはありがちなサラリーマン向け自己啓発書なのでは…？」と予想していたんですが、パラパラと見たところ、最後までスタートレック世界内でのお話が続くようで、各章艦長の日誌から始まって、エピソードがあり、章末にそのエピソードから学べる格言めいたまとめがつく、という構成のようです。これなら辞書を引き引き、のろのろとでも読めるかも。これの存在を知ってから、DVDを見るときに意識して聞き耳を立ててみたら、ほんとによく使うんですね。「Make it so」って言葉…。

『A　CHRＩＳTMAS　CAROL』
パト様朗読のオーディオテープ♪原作をあらかじめ読んでおいたので、「このシーンだな」くらいは見当がつき、楽しめました。なんか日本の朗読のイメージとは違って、地の文もメリハリ大きく、芝居っ気たっぷりに朗読してくれて、飽きません。子供向けのせいかもしれませんが…。特に「Ｄｉｎｇ　Ｄｏｎｇ！Ｄｉｎｇ　Ｄｏｎｇ！」とかの擬音が笑えて好き♪「ガランガランガラン！」なんて日本語の擬音でも同じなので、なんだか一瞬パト様が日本語をしゃべっているような錯覚を覚え、非常に面白かったです。歌もあるし、まさに七色の声を堪能できます♪は～至福♪子供や女性の声はやはり無理があるのですが、こういうソフトな語り口というのが、映画なんかだとあまり聞けないので得した気分（笑）。ペーパーバックを見ながらだとリスニングの練習にもなります。ところどころはしょっているので、「あれ？今どこ…？」と気が抜けません。（笑）

『テロリスト・ゲーム』
ピアース･ブロスナン主演のアクションもの。ドイツでプルトニウムが盗まれ、それで作られた原爆をテロリストが列車ジャックして運ぶのを阻止する話。大して期待はできない…？と思ったところ、国連犯罪担当官役のパト様の他に、旧ソ連軍人にクリストファー・リー、アメリカ人テロリストに『ＭＯＢＹ　ＤＩＣＫ』で素敵に共演してくれたテッド・レビン（名前を覚えました！）とゆー豪華キャスト！脚本もけっこう丁寧でした。ブロスナンと対立しつつも協力していくお決まり女性キャラも、単に画面の華でなくて（むしろ地味かも）骨があって好感持てましたし、パト様の出番も細切れながら多くて、楽しめました。ダークなスーツ姿で素敵♪命令を下す人、というあたりピカード艦長とあまり変わり映えのしない、よくある感じの役ですが、「前日にボクシングをして手首をくじいた」という設定で、ずっと片手にギプスをしているのがちょっとした工夫でした。彼は結局作戦本部から指令を出すだけなので、その間のシーンが単調になりかねないのですが、細かい動作にアクセントがついてよかったです。無意識に掻いてるところとか。なんかすごくわかる。痒そう！（笑）その本部のシーンではコンソールの灯りでライトアップされていて、常に目にハイライトが入ってて（笑）アップですごく見映えがします。うーん、ビューティフル♪ライティングですごく印象の変わるお顔ですよね、パト様…♪

『スタートレック／叛乱』
再見しました。不老不死の惑星に住む、見た目３０代で実はウン百歳の美女（マーシャ・クラッカワー似）との安直なロマンスと、あまりにヒーローなキャプテンはちょっと恥ずかしかったですが…最初に見たときは、キャラに関する知識がなかったので、あまり印象に残ってませんでした。ウン百歳の美女に「若者」と呼ばれ、「年上の女性が好きだ」という艦長…このあたりの楽しさは、やはりＳＦならではですね（笑）。でもこのロマンスのせいかビバリーの出番がほとんどなかったのは残念でした。それにしても私服のセンス若いですね、キャプテン！

『スペース・バンパイア』
宇宙からきたセクシー美女エイリアンに体を乗っ取られる、精神病院院長役。パトリック・スチュワートの中にマチルダ・メイが入ってるって状況…どっちにころんでもフェロモン大放出でしょう！（笑）取り付かれた状態で主人公の男性を見る目が、見事に「求める」視線なのがスバラシイ。これ、下手な人がやるとただのギャグだと思いますが（まあ、見る人によってはこれでも充分ギャグかもしませんが（笑））ちゃんと「男性の体の中に閉じ込められたまま惚れた男の前にいる女性エイリアンのせつなさ」を感じさせつつも気持ち悪くならないのはさすがだと思いました。（色めがねですかね…？（笑））もろに作り物とわかる、ドロドロドバドバな死にっぷりも、いかにもトビー・フーパー（懐かしい名前…）って感じ？なんかある意味「やってる方は楽しそう」な映画でした。モンスター化したロンドン市民の中に、スティング似の人がいたんですが…よくある顔なのかなあ。

『ゴースト・スクリーム』
いや、ネーブ・キャンベルで売ろうとしたのは分かるけど…たしかに「ゴースト」も「スクリーム」も出てくるけど…このタイトルはひど過ぎる（笑）。タイトルで手に取った人は多いに失望すること必至の、ハートウォーミング怪談…一部コメディー（笑）。原題は『カンタヴィルの幽霊』。オスカー・ワイルドの短編が原作だそうで、子供向けのテレビムービーみたいです。古城に住む幽霊が、そこに引っ越してきたアメリカ人一家をおどかして追い払おうとしたら、逆に子供にしてやられ、はてはそこの娘に助けられて成仏をとげる（っていうのかしら？）というお話。パト様、このかわいい幽霊役！劇中劇でハムレットの父の亡霊を演じてくれたり、しかもその役は「自分がモデルだ」と自慢してシェークスピアを「ウィル」呼ばわり（！）したり、もう、可愛くて可愛くてたまりません～！「怖がらせてやる～」と張り切って、鎖をもってびっこを引きながら「いかにも」なポーズでうへへへ、と出てくるところなんかもう最高！長髪で、アイラインの入った舞台風のメイクでのご先祖様な扮装も素敵。しかも彼が幽霊になった理由がオセローかリオンティーズを彷彿とさせるもので、パト様のシェークスピアなイメージをふくらませてくれました。うーん、シェークスピアものを演じるパト様を見る機会は一生ないかもしれないけど･･･（映画とはいわん、テレビムービー→ビデオオンリーでもいい！シェークスピア、やってくれ！ホールマーク！サー・ロバート・ハルミ！（笑））このビデオも手元にほしくなりました…。

『Ｌ．Ａ．ストーリー』
スティーブ･マーティン主演のロサンジェルスネタコメディー。地元っ子なら笑えるのかな…？いろいろ皮肉ッてるのはわかるんだけど、私にはそこ止まりでした。パト様は高級レストランのタカビーな支配人。おかしなアクセントとちょび髭が笑えます。出番はほんのちょっとですけど、ああいう役、好きだなあ…！

『スイートダンス』
ジェニファー・ビールス主演のラブストーリー。社交ダンススクールが舞台で、導入部は『ＳＨＡＬＬ　ＷＥ　ＤＡＮＣＥ？』のパクリくさかった…時期的にもありうるかも。といってもストーリーは違うんですが。パト様は、貧乏なダンスインストラクター。優雅な身のこなしで着ているものは安物…たまらん（笑）。金持ちの有閑マダムと見込んだダンスの生徒（なんとレスリー・キャロン！『パリのアメリカ人』のレスリー・キャロンですよ～！）が、実は訳ありで逆ナンしていた（笑）という…もうもう、最高にラブリーなオジサマ。カツラ着用ですが、とても素敵！踊るシーンもいいし、マダムに高級ランチに誘われて、貧乏なりに懸命に身だしなみを整えるシーンが、生活感があって特に好きでした。ほつれたスーツを自分で直して、しかも色のはげたところをペンで塗ったり、スラックスのプレス代わりに水でぬらしてつまんで線をつけたり…うーん、つくづくいい！（縫い物してるパト様なんて、めったに見られないもの！）二人で香水を選ぶデートシーンとか、婚礼シーンの正装とか…うっとりしながら見ました。この熟年カップルと、若い２組のカップルの話が並行して進むのですが（というか実はそちらがメイン（笑））出演者がみんな素敵で、目の保養でした。キャラの描き方も人間味があってよかったです。予定調和ではあるけれど、パト様ファンの方にはとってもおすすめです！

『ジェネレーションズ』
これも再見しました。前に見たときは、カーク艦長に対する知識がなかったので、全然違う印象…。二人の艦長とマルコム・マクダウェル共演て…すごい宝物かも。ネクスト・ジェネレーションのキャストでの映画では一番面白い感じがしました。キャプテンの泣き顔のインパクトも、ＴＶシリーズを見てからだと増しますね。実は子供好きなの？キャプテン…

『ＭＯＢＹ　ＤＩＣＫ完全版』
ＤＶＤが「完全版」だと知り、急遽入手しました。いやもう、これは絶対このバージョンで見るべき作品です！ビデオで見たとき、イシュメールの扱いが中途半端だったり、どーも強引な感じが払拭できなかったのですが、前後編トータルで３時間あるものを、ムリヤリ２時間に編集していたせいだったんですね。今、原作も読んでいるので、すごく原作に忠実だということがわかりました。２回目なので、最初に気付かなかった点も…エイハブ船長の妻子が冒頭に出てきていたのは、あまり印象に残ってなかったんですが、教会で「鯨に飲まれたヨナ」の説教を聴きながら、この奥さん泣いてるんですね。キリスト教のモチーフをもっと勉強したら、さらに別の意味もわかるようになるかも。しかしエイハブ船長…う、美し過ぎます…。顔につけた傷跡も美しさを強調するばかり。そしてプロポーションのよさ！もうこのディスクは宝物…（笑）。

先日このＤＶＤを買ったとき、お店でクリスマス・キャロルのチラシも頂いたのですが、どうもクリスマスシーズンの子供向け、もっと言うとハリーポッター系の客層を狙っているらしく、ちょい役でしかないリトル・ティム（主人公スクルージの事務所で働いている男の息子）らしき少年のピンぼけの画像を真中に大きく配して、これだけ見ると主人公はこの少年だとしか思えない…というシロモノ。「ファンタジー・アドベンチャーの決定版！」って…アドベンチャーするのは老人なんだけど…（笑）。そのノリを期待した人には、こりゃー詐欺ですな。

２００２／１０／８

パトリック・スチュワート様からのいもづるで、これまではイマイチ入り込む機会がなかったシェークスピアにトライさせていただいてます。今日は『オセロー』を岩波文庫版で読んだところで、すごくコーフンしてます！最初から最後までテンション高くて、読み出したら止まらなくなってしまいました…！『古典作品』を読んでこんなことになるなんて…いや、「古典」という言葉に付随しがちな悪意ある偏見を、自分も払拭しきれてなかった証拠ですね。これだけの磁力があるから古典になるんでしょうね。パト様の公式ＨＰ等で、数年前にオセローを演じたときの写真を見たので、その姿で演じられるのを想像しながら読めたのも、今の私にはすごく効果的でした（笑）。…このオセロー、ヴェニスの白人社会に住む黒人将軍という設定なので、顔を黒く塗ったりして演じられるのが普通だそうなんですが、パト様版では白いままで、かつヒロインで白人のはずのデスデモーナを黒人女性が演じていたので、これはもしかして白人・黒人を逆転させた演出だったのかも！？お、面白そう…！衣装も現代風で、アーミーパンツにTシャツとベストで、腕時計をした逞しい腕にはタトゥーまで入ってるんですよ。か、かっこよすぎ…！ストーリーは（ご存知の方の方が多いかもしれませんが、念のため）人種と年齢の差を乗り越えて美しいデズデモーナと結ばれた一徹な軍人オセローが、奸計にあい、無実の妻の姦通を疑って彼女を殺してしまったあげく、真実を知って自らも死んでしまう、というお話です。オセローは戦争の経験は豊富ですが、人間同士のつきあいや駆け引きは苦手な、まっすぐな人物です。彼は幼い頃から苦労をしてきて（このあたりにパト様自身の「子供時代は幸せではなかった」としか紹介されていないプロフィールがオーバーラップしてしまったのですが）、その生い立ちからこれまでの体験…陥落寸前の要塞から危機一髪逃れたり、敵に捕まって奴隷に売られたり、とこれまた凄まじい…を聞いたデズデモーナが彼に惚れてしまう、ということなので、同情から始まったにせよ、彼女の愛情は容姿から始まったのではないのは確かなのですが、それにしてもものすごくテンションの高い、激しい愛の物語（カビの生えた表現で申し訳ありません！）で、いや…本質的にこんな話だとは思っていなかったので、心底ドギモを抜かれてしまいました。ロミジュリどころじゃないですね。ある意味極限まで研ぎ澄まされたラブ・ストーリー！最後に自分を刺したオセローが、デズデモーナの遺体に接吻（という古臭い表現がまたいい！ビバ岩波！）しながら死んでいく…なんてもう、たまりませんです。あ～ん、見たい～～～っ！！（もちろんパト様で想像しながらの叫びです！ほんとに見たかった～！（笑））

昔、歌舞伎の尾上辰之助さん（最近松緑になった人の、お父様の辰之助さんです）が、このお芝居のイアーゴーという悪役をやった写真を見たことがあって、魅力的な役だということだったので、こちらもどういうキャラなのか興味深かったのですが、なるほど、すべての罠を仕掛けるおいしい役でした！役者さんにとって魅力のある役なのは想像できました。ただ、テキストを読んだ限りではオセローに復讐する動機が弱いので、あまり深読みできるキャラには見えませんでした。まだ読みが甘いのかな～。深読みする研究書とか、たくさん出てそうですよね～。先日読んだ『ヴェニスの商人』も、高利貸しシャイロックと人肉裁判があまりに有名なのでそこに期待して読んだら、案外あっさりと「ただの悪役」だったので少々拍子抜けしました。（余談…昔野田秀樹さんのお芝居でシャイロックが出てきて、「Ｍｅｒｃｈａｎｔ（マーチャント・商人）」が「マーちゃんと！」という駄洒落がありましたっけ（笑）…）でも、こういう元テキストからなにか新しい解釈をつむぎ出す、というのがまたシェークスピアの醍醐味なんでしょうね。それに耐えるだけの原典であるということが古典たる所以…なのかな？パト様もシャイロック役をやったそうなので、すごく見てみたい気がします。

以下は、その他のパト様関連でここ数日にチェックしたものです。

『クリスマス・キャロル』原作…パト様自ら一人芝居に脚色・出演し、テレビドラマ版に主演もしたという、こちらも古典的作品ですね。個人的には最初に見たのがアルバート・フィニー主演のドラマだったので、なんか小太りでせむしでかわいい印象があって、「パト様のスクルージって…かっこよすぎない？！」とか思ってしまうのですが、表情によってはすごくかわいくなっちゃうので、ワンピース型のパジャマにナイトキャップ姿もイケルかもしれない♪…などと想像しながら読みました。テレビドラマ版は、１１月に字幕のついたビデオが出るそうです。待ち切れないので輸入ビデオを注文しました。念のためペーパーバックも。ああ、なんかいきなり英語学習モードです～。ストーリーと台詞がわかってればなんとかなるでしょう…とにかく楽しみです♪ビデオジャケットの写真を見ると、やっぱりなんか小綺麗でかっこよすぎる感じはしますが…（笑）。しかし、いくら字幕がついてるからといって、値段を比べると国内版ビデオは輸入版の１０倍くらいするというのは…なんか納得いかんです！

ビデオ『ＤＵＮＥ／砂の惑星』…おなつかしや～。公開当時はスティング目当てでした。あの鉄パンツ姿～（笑）！パト様はガーニー・ハレック役だったんですね。武人で楽人で詩人ぽくもあり、美形ばっかのアトレイデス家に忠義を尽くす人。今見ると、プロポーションの良さが際立つカッコいいスティルスーツ姿も（なにしろカイル・マクラクランよりお尻が小さい！（笑））頭頂だけ禿げた長髪姿も貴重！パト様のトリビュート･ページの管理人さん（すでに故人だそうですが…盛りだくさんのサイトで、とても楽しませて頂いてます。ご冥福をお祈り致します）は、このガーニー役でパト様に開眼したそうで、とても印象的な役だ、と書いてらっしゃいますが…お目が高いというよりほかありません。私は全然印象に残ってませんでした…（＾＾;）。発声の良さを買われてのお役みたいですね。しかし、ポールの父がユルゲン・プロホノフ、ユエがディーン・ストックウェルだったとは…！プロホノフ氏は『Ｕボート』で、ストックウェル氏は『愛されちゃってマフィア』で、その後に名前を覚えた魅力的な俳優さんです。『愛されちゃってマフィア』はミシェル・ファイファーとマシューモディン主演、マーセデス・ルール共演のコメディーで、しかも監督がジョナサン・デミという…今になると非っ常に贅沢な、大好きな作品です。ストックウェル氏はマーセデス・ルールの尻に引かれるマフィア役でした。邦題のセンスも好き♪原題は確か『Ｍａｒｒｉｅｄ　ｔｏ　ｍｏｂｓ』とかなんとかだったと思うので、直訳するとヤクザと結婚した…『極道の女たち』？（笑）
なお、今回借りたビデオは『プレミアム版』というやつで、公開版より１時間くらい長くて２巻ものだったのですが、あとから調べたらどうやらテレビ用に再編集したものだったそうで、デビッド・リンチ監督は自分の作品と認めてないそうなんです。監督名がアラン･スミシーだってのはそのせいか！（アラン・スミシーというのは、監督が途中で降りたり、なにか事情があって自分の名前を出したくないときに使われる、架空の名前です。デニス・ホッパーの『ハートに火をつけて』とか、そうだったと思います）導入部分がイラストの接写とナレーションでひたすら説明するだけだったり、同じ映像を２度使ったりするので、おかしいな～、とは思ったんですが…長くなってるのは、てっきりカットされたシーンとかを入れたディレクターズ・カットなのかと期待してたので、がっかりです…めりはりがなくて、ずっと予告編のまま、本編が始まらないで終わったような印象です。

ビデオ『ガンメン』…クリストファー・ランバート、マリオ・ヴァン・ピープルズ（おなつかしや～！）共演のアクションもの。見るまで「Ｂ級っぽいしつまんなそう…」とか思ってました…失礼しました！１シーンごとに人間関係が変転し、かつ各々のシーンに惜しまず粋なツカミをぶちこんだ丁寧な脚本！最後まで引き込まれて見ることができました！パト様は下半身付随の麻薬王で、全財産を乗せた船が失踪し、探し出させようとした下っ端に下克上されて死ぬというお役。白いスーツ姿が美しい…（もうこうまで言えてしまう状態です（笑））。相手を始末するために掘った墓穴に自分が転げ落とされる死にっぷりはすんごくおいしい！…あ、今書いてて気がつきました！これって『続夕陽のガンマン』のリー・バン・クリーフだったのか！！！オープニングのテーマ曲に唐突に挿入される、あの「♪ぴょろろろろ～」というマカロニな一節といい、お宝を乗せた船の名前を知っている、というのが最後の切り札になるところといい、これはあのマカロニ･ウェスタンへのオマージュなんだな、とは思ったんですが、パト様がリー・バン・クリーフにリンクしてたとは、今まで気付きませんでした！（これまた同人誌を作ってしまったくらいファンなんです、クリーフ氏！）大好きなお二人につながりが…なんか特別な映画になってしまいました、これ。（笑）下克上する始末屋役のデニス・レアリー（どこでチェックしたのか思い出せませんが、なにかの犯人役で惚れて名前をチェックしたようです。ちょっとスティング／マルコム・マクダウェル系…ツボです（笑））と、彼の下で働く美女役のサリー・カークランド（お名前は今回はじめてチェックしましたが、『ホット･ショット２』かなんかでシャロン･ストーンの『氷の微笑』をパロってませんでした…？）もおいしかったです♪

２００２／１０／２

『チョコレート』を見てきました。Ｒ－１８指定なんですけど、ある意味すごく上品な撮り方してる映画だなあ、と思いました。主人公にこれでもかとふりかかる不幸はちょっと出来過ぎで、リアリティーを損じている感じもしましたが、ハル・ベリーの演技は素晴らしかった…アカデミー賞受賞は納得です。ところでこのタイトル、邦題なんですね。原題は『Ｍｏｎｓｔｅｒ’ｓ　ｂａｌｌ』で死刑執行の前日のパーティーのことだそうです。でも、これは邦題の方がうまいな！センスのいい邦題ってなんか嬉しいです。

ここ１ヶ月の間に『スター･トレック／ネクスト・ジェネレーション』をレンタルビデオで見ていて、ピカード艦長役のパトリック・スチュワートにはまり直してしまいました。とうとう『ネクスト…』のＤＶＤも買うはめに…とほほ。テレビで見たのは全７シーズン中最終シリーズの、最後の数本だけだったので、第１シーズンから見てみると新鮮な感じです。現在はＤＶＤと並行して、スチュワート氏の過去の出演作ビデオチェックを敢行中であります。（パトリック・スチュワート、ご存知ない方のために…最近だと『Ｘ－ＭＥＮ』のプロフェッサーＸをやった、スキンヘッドのオジサマ♪イギリス人でロイヤル・シェークスピア・カンパニーの名誉幹部団員だそうです。前に市村正親さんがやった、一人芝居の『スクルージ』は、スチュワート氏が自ら脚色、出演した一人芝居『クリスマス・キャロル』が元だそうです）以下チェック作品の覚書を。

『エクスカリバー』…アーサー王伝説の映画化。けっこう昔の作品ですね。劇場では見ませんでしたが、剣が直立しているポスターの絵柄は覚えています。スチュワート氏は、アーサー王の嫁の父、レオンデグランス役。登場シーンは馬上試合で、勝った彼が、岩に突き刺さった聖剣エクスカリバーを抜けるかどうか挑戦する権利を得ますが、抜けません。そのあとあっさり抜いてしまったアーサーにやっかみなく忠誠を誓うナイスガイ。ピカード艦長がとても落ち付いている役なので、その印象がついてしまってるのですが、、アクティブなパト様もイイです～♪性格も明るそう。特に宴会シーンで上機嫌でくるくる踊るところなんか…若々しい！案外腕が太くて逞しいんだな、と思いました。禿げてはいますがとにかく若いです、やっぱり。ところでアーサー王はナイジェル・テリー！リーアム･ニーソンやガブリエル・バーン、ヘレン・ミレンも脇役で出ていて、なんか今見ると豪華～♪アーサー王伝説って、名前しか知らなかったんですが、こんな話だったのね…。

『陰謀のセオリー』…メル・ギブソンとジュリア･ロバーツ主演のサイコチックなスリラーもの。パト様は…やったー!悪役だあ♪（笑）いやー、見たかったんですよ、悪役…。あの整ったお顔で冷酷なことを言ってくれたりやってくれたりするとゾクゾクします！登場シーンでは拷問していたメル・ギブに逆に鼻を噛まれるわ、走ってくれるわ、悪役お約束の死亡シーンではモップで水中に押し込まれて撃たれるわ…おいしい。ありそうで案外ない普通のスーツ姿も新鮮でしたし、いかにもな黒いコート姿はもう悩殺もの…♪主演があの二人では…と、あまり期待しなかったんですが、映画自体もなかなか凝ってて面白かったです。

『ＭＯＢＹ　ＤＩＣＫ』…メルヴィルの『白鯨』のＴＶ用映画。パト様、エイハブ船長役です！私、グレゴリー･ペック版『白鯨』は（ペック氏大好きなのにもかかわらず）深夜放送で見ながら寝てしまったことが２度ほどありまして、ちょっと縁遠かったのですが、今回は煩悩に引かれて夢中で見ました！キャストに見覚えのある人がけっこういて、それも楽しかった…。語り手のイシュメールがヘンリー・トーマス（「『Ｅ．Ｔ．』の男の子！大きくなりました…でも顔が変わってない（笑））、船長と対立する、信心深い一等航海士スターバックが『羊たちの沈黙』の犯人やってた人！（名前覚えてないんですが、色気があって当時けっこう好きでした…）パト様のエイハブ船長は、捕鯨船の船長にしてはなんか小綺麗で、服装もきちんとしてるのがちょっと違和感ありました。あんなものなのかな？全然むさ苦しくないんですよ…なぜかと思ったら、髭がないんです。寝てしまったけれど、グレペク版ではあごひげがあったような印象があるんですが…髭ある方が凄みも出そうだし。どういう意図かなあ。顔に傷跡があるんですが、やはりなんか清潔な感じで、「復讐に燃える老船長」というよりは、正気を失ったナイーブなインテリっぽい感じでした。終盤にスターバックに弱みを見せるシーンがあって、なんかとってもアブナイ感じなのですが、それも髭なしの美しい顔立ちが一役買っていたかと…（笑）。薄いロン毛のカツラ着用。案外細いヒップラインが強調される、黒いスラックスとベストの衣装がよく似合ってました。最後、白鯨にモリを撃ちこんだ船長はロープに絡まれて鯨に引きずられる形で死ぬのですが、白鯨の体に絡まり付いた船長の遺体が、水中から現れるシーンは圧巻でした。なんか、ポーズが十字架から下ろされるキリストを連想してしまうような感じで。宗教的なモチーフはたくさん出てくるので、はっきりとそういう意図なのかもしれません。顔がはっきり映っているからスタントマンじゃなさそうです。すごい。その後水中に沈んでいくシーンも、思わず見惚れる美しさでした。しかしこの撮影、大変だったろうなあ…。…『白鯨』って、鯨への復讐に魅入られた船長と、船長に魅了された乗組員のお話…だったんですね…？思わず原作買いこんでしまいました（笑）。

『ジェフリー！』…スタートレックを何本か見るうちに、パト様、案外ナイスバディーでセクシー系な方なんだな、と分かってきました。白髪化した胸毛を晒すサービスカットはホイホイこなすし、果ては全裸で拷問なんて話まで…（需要はあるんだろうなあ！（笑））お顔から想像するより逞しいけどマッチョすぎもせず、ほどよい均整…これはゲイにもモテるのでは…？と思っていたところ、この映画でゲイそのものの役をやってらっしゃいました！ストーリーはエイズにおびやかされるのがいやでセックス絶ちを思い立ったゲイの話で、舞台作品の映画化のようです。コメディー仕立てです。パト様は主人公の友人で、エイズでパートナーを失うインテリア・デザイナー役。その終盤はホロリとさせますが、パートナーの感染を知りながら「俺はツイてるから絶対大丈夫」と、不安を楽天主義で追い払おうとする前半の飛ばしっぷりが（あとからそう分かると悲しいのですが）可愛くて楽しい！ピンクのＴシャツにピンクのベレー帽、ピンクのトランシーバーを身につけた艦長…現実は常に想像を越える…（笑）。わりと身長低いんですよね。長身の俳優さんの横に立つとほんとにカワイイ。そしてあのシブい美声におネエ言葉の字幕が…たまりません（笑）。ちょっとした仕草もうまくて、もう涙が出るほど笑っちゃいました。９４年作品なので、『ネクスト・ジェネレーション』シリーズ終了直後か、ちょっと重なるタイミング。公開当時はさぞやイメージのギャップが話題になったことでしょうねえ…もしほんとにバイセクシャルだと聞いても、驚かないぞ（笑）。シガニー・ウィーバーがちょろっと出たり、他にも名前は覚えてないけど見覚えのある人がカメオっぽく多数出演してます。ゲイの神父役で、（こちらも大好きな）ネイサン・レインも出演♪この人ゲイの役多いなあ…。本物さんだろうか…。

『スタートレック／ファーストコンタクト』…以前ＴＶ放映を録画してあったのを再見。以前艦長を拉致して機械を移殖し、仲間に引きずり込んだボーグという機械生命体との戦いに決着をつけ、トラウマを克服する話。タイムスリップで昔に戻り、ワープを開発した博士とエンタープライズのクルーとの出会いもからみます。博士役はジェームズ・クロムウェル！おいし過ぎ！ピカード艦長は当然主役でアクションも多く、作りこんだマッチョな体型になってます。これはアクティブな艦長を見せよう、というコンセプトがあってのことらしく、「トレーニングを始めて３週間くらい経って鏡を見たとき、誰かわからなかった」とご本人が言ってるくらいの肉体改造ぶり。アメリカ人はやっぱりマッチョ好き…？これでワークアウトの効果に目覚めたらしく、その後の他の未見作品の写真でもすごくマッチョな体つきなんですよね…私はＴＶシリーズの頃のプロポーションがほどよくて好きなんですが…（＾＾;）ボーグは蜂のような社会を形成していて、各々の個体は個性も意識も持たず、全体でひとつの生命体という設定で、集合意識を代表するのがボーグクイーンという女性型のキャラなんですが、半機械の不気味なデザインにもかかわらず、彼女がとても可愛くてセクシーで、艦長にすごく執着してるんですね。拉致されていた時の記憶を思い出した艦長とボーグクイーンの会話がおかしい。「君は私の体を同化するだけでは足りず、私のすべてを求めた」「自惚れないで！」…痴話喧嘩かい（笑）。クイーン以外の“働き蜂ボーグ”たちはみんな男性型でコワモテのにーちゃんなのに…あいつらみんな艦長にベタ惚れしてたのか…？（かなり曲解（笑））映画はかなり面白いんですが、マッチョな艦長はちょっと…その上衣装もなんかボディーコンシャスだし…（笑）。

２００２／９／４

『ある日どこかで』の小説と映画版を鑑賞しました。タイムトラベルもののラブストーリーで、映画はかなりカルト的な人気のある作品だそうです。誰かに純粋に恋すること、が究極の設定で描かれているような気がします。切なくて素敵な作品でした。特に小説は強烈で、２回ほど泣いてしまいました。作品に行き付くまでの経過がちょっとシンクロ（スイミングじゃなくてシンクロニシティーの方）な感じで面白かったので書きます。（以下ブルーの部分はシンクロ話です。）

まず、ここでも書きました『タイムマシン』のパンフで、この『ある日どこかで』がタイムトラベル映画のひとつとして紹介されていて、ちょっと記憶に残りました。それからいもづる式に思い出した音楽がありました。２０年くらい前…中学生の頃に、レコード（当時はレコードかテープだったんですよね…）を買うお小遣いがないので、やたらラジオから映画音楽を録音していて、その中で聞いた『いつかどこかで』と紹介された曲でした。作品は知りませんでしたが、当時曲が大変気に入って繰り返し聞いていたので、テープはもう紛失しているのですが、今でもほぼ完全に記憶しています。「もしかして自分の聞き違いかＤＪの紹介ミスで、この曲がこの映画のタイトル曲なんじゃないのかなあ…」なんて思い付きからその『いつかどこかで』が頭の中で「繰り返し再生」状態になってしまいました。（ただし、後から考えると同じジョン・バリー作曲の『愛と哀しみの果て』と時々混同して再生していたようです（笑））

ビデオで見てみたくなって「再生」のまま行き付けのレンタルビデオ屋２件をチェック。…ありませんでした。残念でしたが、まだそれほど執着を覚えていなかったので、まあいつか機会があれば…と気を取りなおし、そのまま本屋へ。なんとなくＳＦがほしかったのでハヤカワ文庫の棚に行って物色しましたが、これというものがありませんでした。隣の棚は創元文庫だったので、こちらもＳＦあったよな…と眺めた瞬間、『ある日どこかで』というタイトルが目に飛びこんできました。へえ、偶然。原作かな？と手に取ると、帯に大変熱い推薦文が。
「きっとあなたもこの物語を生涯大切にしたくなるだろう。これは奇跡のラヴ・ストーリーである」
ｂｙ瀬名秀明。読んだことないけど『パラサイト・イヴ』だかなんだかの作者じゃなかったなかあ、瀬名秀明さんて…理系っぽい男の人（すいません、予備知識ゼロでイメージだけで言ってます(＾＾;)）が推薦するラブ・ストーリーって、ちょっと本物かも」とあおられて購入しました。日頃本を買うときは、かなり迷うというか慎重になる方なので、衝動買いに近かったのは自分としてはちょっとした事件でした。探していたビデオの代わりに原作がすぐ見つかった、という偶然が嬉しくてはずみがついたようです。

買ったものの、導入部だけ読んで後回しに決定。これは、ノベライズにしろ原作にしろ映画と同内容の小説がある場合、映画の方を先に見たい、という嗜好が私にあるためでして…。そして２，３日後、朝日新聞に『ある日どこかで』の小説＆映画紹介記事が！邦訳が長いこと待たれていたのが、やっと今年の春に出版されたとのこと。出版直後ならともかく、どうしてこの時期に紹介…？とこれまた不思議なご縁を感じましたです♪これから初アクセスする作品なので詳細を読むのは避けましたが、ビデオが絶版だと書いてありました。…となると、やはり映画版を見る機会は遠い先かもしれない…ちょうど漫画のラブ・ストーリーを考えていたので、「そーゆーモード」になりたいのもあり、映画版を先に見るのは諦めて、小説を読み始めました。体調が悪くてずっと家にいたのも幸いし（？）、読み始めた日の午後と翌日の午前で読了…これも、小説を読むのが遅い私には驚異的な速さでした。とにかく引きこまれてしまって…。映画の方もいよいよ見たくなりました。ないとなると余計に見たくなるんですよね(笑)

読了翌日、家人と外へ食事に出ました。いつもは行かない方向で、バスに乗らなければ行けない距離でしたが、そこにもレンタルビデオ屋があったのを思い出し、その頃にはかなり見たくなっていたので「もしそこにあったら、そのためだけに会員になってでも借りてこよう！」と意を決してお店へ…ありました！しかし貸し出し中！…新聞にイラスト入りで紹介された直後なので、この展開は予想していましたが、あの記事が出る前だったら、こんなマイナー作品見たがる人なんていなかっただろうになあ…と未練ひとしお。気軽に寄れる場所でないだけに…でも、また時間を置いて来よう、と決意。見つかっただけでもましじゃないか…。

そして１週間後、行きつけのレンタル屋さんの月に二度の廉価デー。この間にスタートレック・ネクストジェネレーションにはまりなおしていたので、パトリック・スチュアートの未見作品でもまとめて借りるか…と足を運びました。ここには『ある日どこかで』はなかったのですが、念のためもう一度、いつもは行かないラブ・ロマンスものの棚へ。…２本もある！びっくりしました。なぜだろう、前回来た時も同じ棚は目を皿にして見たのに…。新聞記事が幸いして、問い合わせが続いて対処してくれたのかしら？！２本のうち１本は貸し出し中でした。もちろん即借り出し決定！…思えば、先週行った店で貸し出し中でなければ、もう二度と利用しないような店でわざわざ会員手続きをして余計な出費をするところでした。今度の店にしても、前回来た時に出ていれば廉価デーを待たずに高上がりで借りたことでしょう…。些細なことですが、なんだかすべて自分のためにお膳立てされたようで、とても気分がよかったです。

早速見てみました。そしてあの曲…『いつかどこかで』と記憶していた曲が、映画の中で流れました。約２０年も経ってここでイメージがつながるなんて！そのこと自体にえらく感動してしまいました。映画自体のタイムトラベルなムードとあいまって、なんだか自分も時間を超えた経験をしたようで、不思議な感じでした。１９８０年の作品だそうなので、ラジオで聞いたときはほぼリアルタイムだったのかもしれません。

で！作品自体の感想です。先に読んだせいか小説の方がインパクトありました。設定も違うので…でも、映画の脚本も作家自身が書いているので、そのへんのアレンジとか取捨選択は逆に興味深かったです。（以下、ネタバレしますので、これから読むｏｒ見る方は…選択はお任せします。）

まず、小説の方では主人公リチャード･コリアが脳腫瘍で余命数ヶ月、と自覚しているということ。映画にはこの設定はありません。小説はこれが前提となって、主人公の死後に彼の兄が発見した手記、という設定で展開するので、主人公が非現実的な時間旅行にのめりこんでいく過程にリアリティーがあります。現実逃避と焦燥感がそのまま、故人への恋を加速させる。「きっとこれは脳の損傷が見せている夢なんだ」という意識と「でもほんとなのかも」という意識が読む側にあいなかばするので、彼がのめりこめばのめりこむほど、切なくなります。ちなみに、読んでいるときのコリアのイメージはガイ・ピアースでした。『タイムマシン』の扮装（特に前半の青白くて不健康そうな感じの）がイメージにぴったりしていたのもあって、すごく相性よかったです…キャラ的にも無理なくフィットしそう。『メメント』『タイムマシン』と設定やイメージがモロにカブるので実現はありえないとは思いますが、彼のコリアで小説に忠実なバージョン見たいなあ、と思います。「必死な状況」ですごく魅力的に見える俳優さんですよね。

小説で２度泣けた、と書きましたが、一度目はコリアがホテルの過去の宿泊者名簿に自分の名前を見つけるところ。ここではもう自分が彼自身になっていて、彼の必死さがのりうつってしまい、彼が泣くのと一緒に泣きました。ビデオで見た古い映画で故人の俳優に惚れて、関係資料を漁りまくる…というのは日常茶飯事なので(笑)、感情移入しやすかったのかも。でも、こういう体験って今ではそう珍しくないと思います。映画好きな方には特に多いでしょう。（映画版がカルト人気なのはそのへんが原因かも）私はマジな幻覚というのは見たことがなくて、寝て見る夢と現実もはっきり区別してしまうので面白くないのですが（もちろん今まで現実として認識してきた一連の人生が「胡蝶の夢」でないとすれば、です(笑)）小さい頃から「この現実は、実はボケ老人になっている自分が見ている幻覚で、今見ている両親は既に死んでいるのではないか」とか、「今トイレで用を足していると思ってるけど、実は自分は幻覚を見ていて、教室の中とか会社の自分の席とか路上とかにいて恥をかいているのではないか」とゆー、時空を超えた(笑)へんな不安に駈られることがよくあるんです。うーん、あらためて文にするとすごくヘン。なんでここまで暗いというか、悪い方に考えるのか…同じアイデアに取り付かれるなら、「今起こっている不快な状況は実は幻覚に違いない」と思える方がずっといいのに…(笑)。まあそんなわけで、思いこみで時間を越える、という設定はとても身近に感じられました。高校生くらいの頃だったら試してみたかも(笑)。

映画は違う意味で切なかったです。やはり主演のクリストファー・リーブが現在は脊髄の損傷で体を動かせなくなっていること…。元気な頃の彼、という色眼鏡がどうしてもはずせなくて、せつなさ倍増してしまいました。鑑賞態度としてはあまりいいものではないと思いますが…。それにしてもこの映画のリーブ氏はかわいいですね。スーパーマンのイメージしかなかったものですから、未見の『デス・トラップ／死の罠』や『バチカンの嵐』で「男性を誘惑する美青年」役を演じているらしいと（伝聞なので…間違ってたらごめんなさい！）聞いた当時は違和感を通り越して滑稽さを感じていたんです。（それに『バチカンの嵐』って…タイトル…(笑)）でもこれならいけるかも(笑)。この２作もいきつけのレンタル屋にないんですよねえ…見たいなあ。それはともかく、映画のコリアは小説より若々しくて無邪気な感じです。設定の違いもありますが、とにかくかわいい。健康的に恋にのめりこむ青年になってるので、ラストで文字通り焦がれ死にする姿が痛々しかった…。エリーズ役のジェーン・シーモアも綺麗でしたが、恋を成就させたあと「結婚してね！」とお茶目に言って活発なお嬢さんぶりを発揮するシーンが一番魅力的に見えました。喜劇で当たりをとってる女優にしては前半はお人形過ぎる感じ。前後のギャップを狙ったのかな。それともコリアを警戒していたせいでしょうか。意外なご馳走だったのが、エリーズのマネージャー、ロビンソン役がクリストファー・プラマーだったこと！大好きなんです！いやー、クリストファー・リーブと比べたら、私なら絶対プラマー氏の方を選ぶけどなあ(笑)。小説ではエリーズの母とか占い師とかが担ってた部分を、全部この人が引きうけていたので、ちょっとちぐはぐ感がありましたが、多分小説のイメージが頭にあったせいでしょう。これはこれで面白いキャラクターでした。予知能力があって、エリーズの恋人の出現を予知していながら、彼女を女優として大成させたいがためにその中を裂こうとするマネージャー。主人公より複雑で面白いですね。エリーズがもともとマネージャーに反発を覚えていた感じがあると、彼女にもっと存在感が出たと思います。コリアにしても、やはり〆切前の脚本家が気分転換に旅に出た、というだけの動機だと少し弱くて、その後彼が過去にのめりこむ過程に無理を感じます。時間旅行を簡単に信じてしまうのも唐突な感じ。未来から来たことをエリーズに打ち明けるシーンがないのに、どうして晩年のエリーズが彼のところに来れたのか、とかも気になりますし。逆に、そういう結果になったことだけを示して、間を想像させる…という手法かもしれませんが、日記を過去に置いてくるとか、かつて書いた脚本の話をしていたとか、コリアが未来から来ていたことをエリーズが知る伏線を過去に残しておかないと、つながらない感じもするし…それとも私が気付かなかっただけであったのかな？伏線…。なんにせよ小説を先に読んでしまったので、先に映画を見たらどうだったかが想像できません。予備知識がなければ、そのへんのポンと飛んでる感じが逆に快感だったかもしれないし…ああ、やっぱり小説を読むのは後にすればよかった…。
でも、脳腫瘍の設定が削除されたことや、アーサーという両方の時間に存在するキャラができたことで、タイムトラベルの信憑性が増しましたし、イノセントな恋愛感情そのものに焦点が合った感じはします。やはりコリアの死が病死から焦がれ死にになったことで、「恋に殉じる」という小説にはなかった要素が入って、まったく違う作品になったと思いますし…。映画と小説という手法の特質の違いをすごく意識できた気がします。死後のコリアとエリーズが手を取り合うラストシーンはシンプルで、余計に涙が出ました…。欠点はありますが、愛すべき小品といった感じ。一生心の中で大事にしておきたい作品のひとつになりました。

２００２／８／１２

いい男発掘話その１
『スタートレック』ＴＶシリーズのパイロット版『光るめだま』を見ました。スポック、カークは出ますがドクターマッコイは出ず、いささか残念、と思って見ていたところ、どーもどっかで見た顔が…これは『２００１年宇宙の旅』でＨＡＬに間接的に殺された脚線美のヒトでは…？！（すいません、両親からの誕生日祝いのビデオレターを見る、日焼けマシン（？）に乗ってたときの長ーいおみ足でインプットしてしまったので…しかも名前は覚えてなかった…（^^;））確認したらやはりそうでした。お名前はゲイリー・ロックウッドさん（ちょっとトルシエ似）。いやー惚れちゃいましたー♪『光るめだま』（しかしあんまりなタイトル…）ではストーリーの核になる、謎の電波（？）を浴びて超能力が覚醒し（それでめだまが光るんですね）、神化願望に駆られてカークたちと敵対することになるクルー役で、なかなか不遜、かつ幼児性の残るキャラクターが素敵でした。力を得て素直に喜ぶ演技が、いかにも悪役な哄笑ではなく、つぶやくように「アハ…」という程度のさりげない表現で、このキャラの精神的な未熟さというか、子供っぽさがよく出てて…。派手な演技はないんですが、彼の経過を観察する美人博士に迫るところなど静かながらフェロモン出まくってて素敵でした。（この美人博士も、彼の超能力そのものに興味を引かれてる部分と、彼自身に惹かれてる部分がない混ぜになった微妙な演技でグー！）それとやはりプロポーションが…素晴らしいです…！制服の黒いスラックスとブーツも長い足を強調して素敵だし、ノースリーブの検査着姿なんか露出度高くてよだれモノ…貧弱なヒトが着たら人間ドックに来たおっさんにしか見えないダサいデザインなんですけどね（笑）ほんとに、マッチョ一歩手前の絶妙なプロポーションなんですよ～（^^;）あーいうサービスカットがあるところを見ると、やはり肉体美がウリの方なのかな？なんて思ったりしましたが、『２００１年…』を見なおしてその感を強くしました。だって、ボーマンとプールの露出度に差がありすぎ…（笑）（やはり顔はボーマンに軍配、ですが（笑））続けて出演作チェックをしたいんですが、『２００１年…』後の出演作がなんかＢ級アクションぽいタイトルばかりで、現在レンタルビデオなんかで発掘するのは難しそうです。…唯一有名どころの『草原の輝き』は未見の名作のひとつなので、近いうちに見てみようかと思います。ウォーレン・ビーティーのルックスが苦手で避けてたんですが、背に腹は替えられないな…（笑）。もっとなんか情報がないかなーと思って検索してみたところ、昨年『２００１年…』をリバイバル上映したときに来日した、という記事を見つけました。「長身でがっしり」はともかく「太っていた」という感想もあって、うーん、最近のお写真は見たいような見たくないような…（笑）でも、お元気でなによりですね。『２０１０年』以外のキア・デュリアさんのその後も気になるのですが、どうなのでしょうか…。しかし『２００１年…』、何度見てもやはり魅力的ですね。

いい男発掘話その２
ちょっと前に『ダスト』っていう映画を見てきました。内容は…うーん、あらすじを書いてしまうとなんか受けた印象がだいなしになりそうなので、詳しい描写は避けますが、物語を語ること・聞くことについての映画…でしょうか。ハーヴェイ・カイテルあたりに解説してほしい（笑）。すごく刺激的でした。映画を見るときに「さー！一から十まであたしが頭を使わなくてもわかるよーに、目で見える形で説明してちょ～だい！」というマグロちゃん状態じゃなくて（笑）、自分の頭を使って解釈することに快感を感じるタイプの方には、久しぶりに「手加減しないで」楽しめる映画です。最近このタイプはますます少数派みたいですが…少数でも、なくちゃいけないですね。こういうレベルのものは。特に、いろんな意味で「自前の物語」をつむぐ楽しみを知っている方には、いろいろインスパイアされるし身近に感じる部分もあると思います。私には「物語って、そういうものだったのか…確かにそうだよね！」と一枚ウロコが落ちた感じでした。楽しむスタンスさえあれば、複雑でも難解でもありません。まあそれはともかく、それに出演していたデビッド・ウェンハムというとても魅力的なオージー俳優さんがいまして、彼の次回作として『ロード・オブ・ザ・リング／二つの塔』が紹介されてたんですね。「ま、まさかボロミアの弟…？だったりしたらもう、ゴンドールの兄弟ってツボ過ぎる…」（笑）と内心期待してたんですが、今日ＬＯＴＲ公式サイトで確認したら、なんとそのとおりでした！♪♪♪ボロミアの撮り足しシーンもあるそうだし、こりゃー楽しみ増えました♪公開までが長すぎる～～～！

えーと『ダスト』ではこのウェンハム氏とジョセフ・ファインズが兄弟役で、この兄弟のねじれた絆っぷりもオイシイので、いい男鑑賞作品としても五つ星でおすすめです♪

２００２／８／１

やっぱ夏はＳＦ！…が続いてまして、ＢＳでやってたスター･トレック劇場版全作放映につきあって、やっと学生時代の友人たちが騒いでたわけがわかりました…。（ミスター･スポックのルックスをかろうじて知ってる程度だったんですよ…）全６作で、後になるにつれてだんだんＳＦっぽさが薄れてハリウッド映画っぽくなってくるんですが、逆にいうとだんだん見やすくなってくる。（キャラの設定が頭に入って、細かいところで楽しめるようになっていったせいもあるかもしれませんが）一作目は映画としては前半がすごくかったるかったですけど、オチが見事にＳＦでした。アイザック・アシモフらしき名前がスタッフロールの中に見えて、なるほど…と納得したんですが、目の迷いかしら？（^^;）

私、スター･トレックはパトリック・スチュワート目当てで見たネクストジェネレーションの方が先に「来た」んですが、これは少し前に深夜民放でやってたのを録画して、もうほんとにスチュワート様のお顔が拝めりゃいいや…という感じでまったく期待しなかったものですから、お話がちゃんとしててびっくりしてしまった！という経緯があります。どーもマニア的なファンがつく作品というのは、見所の紹介のされ方が最初から重箱の隅だったりして（それは身の回りの人間がオタクばかりだったせいだろう…）「普通に見る分には物足りないんだろうな」というイメージを持たされがちだったのと、万一同じテンションで楽しめなかったらファンの友人とあとあと気まずい…というプレッシャーもあって手をつけにくかったんですね。おかげで損したなー、という感じです。（笑）まあ、人それぞれにものごとと出会うタイミングというのはあるのでしょう。

「ネクスト…」の方を先に見た身にはやはり牧歌的というか、ツッコミどころ満載！（笑）ではあります。やはりなんといっても危険な場面に真っ先に乗りこんで行くのが艦長・副長・船医というのは…（^^;）最初「えっ、なんで！？」で、絶対もっと下のポジションの若いヒーローが出て来るんだと思って途中まで見てました。（笑）（宇宙戦艦ヤマトで育った世代のせいもあるのかしら？…いや、やっぱ常識で考えておかしいですよね）だいたい、ケガ人が出てる場面でなんで船医が艦橋で艦長とだべってるんだ！？仕事しろよ！（笑）…ツッコめるのも魅力のうちかな？お約束のいい男チェックではその船医、ドクター・マッコイに惹かれました。きゃ…華奢すぎる！お顔は角度によっちゃジョディー・フォスターばりの美人に見えちゃいました。（早くもフィルター装着？）しかし「惚れてみたらすでに故人」というありがちなパターンでした…くすん。

勢いでレンタルビデオのテレビシリーズも見始めたんですが、いやー、いいですね！適度なチープ感でアメリカの古いＳＦ雑誌のイラストがそのまま動いている感じ♪わくわくしました。（ＳＦ、別に詳しくはないんですが、ビジュアルは好きなんですよね…）画面のチープ感から想像するよりははるかに脚本…というか設定がしっかりしてて、ああ、本場もんだなあ、という感じ。アメリカが生んだもので世界に誇れるのはジャズと野球だけだ、と言ったのはクリント・イーストウッドですが、こーいう冒険ＳＦの映像イメージ（形而上なのはべつとして）も、やはりアメリカのお家芸ですよね。なんか、ＳＦというとキャラがアメリカ人で、カタカナと金属とナイスバディーの世界！というイメージで刷りこまれてますし…。（私だけ？）
映画の後に見ると、役者さんが若いのも嬉しいですね。カーク艦長ってハンサムだったんだなあ…（笑）おなかの出た姿でインプットしたもんですから驚愕でした。やたら肉体派と女がらみが誇示されていたのは、このイメージを延長したせいだったのか…。お若い頃はちょっとメバリを入れたラッセル・クロウって感じです。（双方のファンの方に怒られそう…ゴメンナサイ！）ドクター・マッコイはなぜかアップのときに紗がかかっていて笑いました。（こーいう撮り方されてるのは、他は女優さんばかりなんですがねえ…（笑））、まあ…やはりルックス重視のキャラだったんでしょうか。でも、映画のおじーさんぽいドクターの方が私には魅力的でした。

思えばスター・トレックもネクストジェネレーションも宇宙家族ロビンソンも（？）テレビの深夜枠で何度も再放送やってたんですよね…今考えると贅沢だ！録画しまくっておけば、今頃ずいぶん楽しめたのになあ…（←ソフトを購入するところまではまだ行ってないらしい…エンタープライズ号の模型付きＤＶＤセットとか、出ていたような気がしますが…）

夏のもうひとつのお約束、新潮文庫で『エンデュアランス号漂流』という、南極圏で難破した船のノンフィクションを読み始めたんですが、それに出てくる船長がちょっと皮肉屋で、名前がドクター・マッキルロイ…なんかエンタープライズ号の船医殿とイメージが重なっちゃって、楽しいです。この本、西欧では一般常識的作品らしくて、たしかアーサー･Ｃ・クラークの小説かなんかでも当たり前のように言及されていた記憶があるので、もしかしてドクター・マッコイのイメージの源泉かも…？だとしたらいかにもなエピソードが出てくるかも…なんて期待しながら読んでます。「私は医者だ。アザラシ取りじゃない！」なんて言ってくれると嬉しいんですがねえ。（←絶対ない）氷に閉じ込められて越冬してるってのに、氷原でサッカーしたり、犬ぞりレースやったり…まさに小説より奇なり…人間てかわいいなあ…。イギリス人のユーモア感覚なのか、筆者の文章表現も面白くて、真夏に氷点下の冒険を楽しめる１冊です♪

そういえば、先日ご紹介した『タイム･アフター･タイム』、テレビで深夜放映しましたね！前にやはりテレビで吹替え版を見たときに印象的だった、主人公のＨ･Ｇ・ウエルズがヒロインにベッドに誘われるシーンがカットされていたのは残念でした…たしか、「君の名誉を汚したくない」と遠慮するウエルズに「馬鹿ねえハーバート、レイプされてるのはあなたの方よ♪」とヒロインが押し倒す（？）…みたいな１９世紀紳士とバブリーな現代女性の組み合わせを強調するシーンだったと思います。（あのキャリアウーマン像も今となるとノスタルジックですな）完全に手玉に取られてるマルコム氏がかわいかった…♪切り裂きジャック役だったデビッド・ワーナーがちょうどその日あたりに放映したスタトレにも出ていて、なーんかテレビでタイムスリップ感覚味わいました。

ところでスタトレのついでにやってた、レナード・ニモイ監督の『スリーメン・アンド・ベビー』、いつぞや『ＵＳＯジャパン』のコワイ映像コーナーで紹介されていた「いるはずのない少年が映っている」映像がばっちり映っていて、紹介されていたこと自体忘れていたのに、いっぺんに思い出して鳥肌立ちました。鮮明すぎます！これ、ラッシュで気がつかないはずはないと思うんですが…ミスをごまかすために心霊ネタとして処理したとかじゃないのかなあ…？劇場サイズで見たらますます目立ちますよね。それともビデオになって初めて見えたとか？…それならちょっとこわいかも。

２００２／７／２２（…うわ、２ヶ月ぶりだ！）

やっぱ夏はSF！とゆーわけで『タイムマシン』を鑑賞してきました♪夏休みだし、ほとぼりが冷めるまで待とうと思ってたんですが、ガイ・ピアースにジェレミー･アイアンズと聞いては待ち切れず…混雑覚悟で見に行きましたが、強力な対抗馬のおかげかガラガラ！いやー、『スター・ウォーズ』さまさまです♪映画として傑作かというと、う～ん…なんですが、ガイ・ピアースがやっと「単館系でない」映画で見られる！というのと、レトロなSFのガジェットが見られるだけでもワタクシには引力充分でした。予想外のご馳走だったのがジェレミー･アイアンズ！扮装がですねー、素晴らしいんでございます。そして、私にとっては「これぞ理想の中村梅玉！」だったのでございます…（笑）。わけわかんなくてすみません…（いったい何人の方がこの感覚を共有してくださるだろう？）歌舞伎俳優の中村梅玉さんについてはこのＨＰでかなり言及させていただいてるんですが、私、十数年前に不遜にもこの方が主演するＳＦ作品の夢をみたんですね。舞台なんですが。その夢ではいわゆる破滅型の知的悪役で、すごく魅力的だったんです。でも、ご父君歌右衛門丈の方針かテレビもいっさい出ず、正統派歌舞伎一筋というイメージの「歌舞伎界の貴公子」だったので、そんなモノが実現する可能性は皆無だったわけですが…。加えて、同じ頃に目にした古本のグラビアで、小具足に大童姿のすんごく美しいものがあって（それは今でも私の宝物なんですが）今回のジェレミー・アイアンズの扮装が実にそのセンなんです！パンフの写真をよく見ると、衣装自体、肩当や草摺っぽいものがついてたり、篭手っぽいリストバンドをつけていたりで、日本の具足姿からインスピレーションを受けたんじゃないかなー、という印象を受けました。とすると、やはりあのヘアスタイル…肩より少し長めのワイルドなオールバック…も、武将の大童からヒントを得た可能性は大です。…その上SF。もうこれはワタクシには夢の実現でございます。もともと、梅玉丈とアイアンズ氏はテイストに似通ったところがありましたが、これはほんとに、梅玉丈がカラーコンタクト入れて（キャー見たい～！）特殊メイクして撮ったらこんな感じ？のシミュレートでございます。（年齢も近いし…）そしてもちろん、美しければ美しいほど、それをあられもなく、文字通り粉々に破壊されるのがまた快感で…ううー、ここのＣＧも素晴らしい！『ブレイド』でスティーブン・ドーフ演じる魅力的な悪役が同じような目にあったときは、グロさが勝ってましたが、アイアンズ様の散りっぷりったら、ちょっと色気のある演出で…公開まもない時期なので詳述は避けますが、「きゃーもったいないー」と叫びつつ、唇の端が持ちあがってしまうような（笑）…そういう感じでした。まあグロいといえばグロいんですが。しかしこーいうキモ美しい悪役って、ほんとに理想だなー。地底でほとんど動かない生活らしいのに、なんであんなに均整のとれた体なんだろう…毎日筋トレしてんのかなー、なんてバカな想像しちまいました。パンフにも主役を差し置き（？）アイアンズ様のピンナップばりのフォトが…このパンフの編集さん、分かってるなあ。（笑）

他に印象的だったことといえば、特撮シーンにスタミナがあることですね。すごく手間がかかっていそうでかつスピード感のある特撮シーンとか迫力のあるアクションシーンて、ある程度「この秒数を超えることがないはず」という感覚が…-ほんとに感覚的なもので、別に秒数計ったわけじゃないんですが…あるんですね。私だけじゃないと思いますが…。今回は「あれ？まだ続くの？」という感じがしました。早く終わってほしいというんじゃなくて、「まだ続けられるの？」という感じ。テクノロジーの進歩でしょうか。そういうところも見所ではあります。

でも、タイム・トラベルというコンセプト自体には、現代の私たちには新味がないので、ＳＦ的なセンス･オブ･ワンダーより冒険アクションという印象が強かったです。でも男優二人の魅力に免じてマル。正攻法なところも好印象。タイム・トラベルものといえば、『タイムマシン』の原作者のウェルズ自身を主役にした『タイム･アフター･タイム』というのがあるんですが、これはしゃれてて面白かったです。マルコム・マクダウェルとメアリー・ステーンバーゲン主演です。タイムトラベルしてきた１９世紀の男性が現代女性と恋に落ち…という話なので、『ニューヨークの恋人』を見た時は一瞬これのリメイクかと思いました。でも、『タイム・アフター・タイム』の方が面白かったですね…おや？ガイ・ピアースとヒュー・ジャックマン、奇しくも二人の新進オージー俳優が同じ時期に１９世紀の紳士を演じるとは…なぜか今、前世紀…いや、前々世紀紳士が大モテ！しかしなぜ？

２００２／５／１６

:継続しているショーン・ビーン熱！ほぼ１ヶ月もちましたね…これはもう私的な「スタンダード」入りか…？（笑）。冷めないうちに、前回以降に見ることができた作品の覚書きを。

『RONIN』
ちょっとヤバそうな謎の任務のために集められた“仕事人”（？）たちの話…タイトルは日本の「浪人」から（忠臣蔵の話がちょろっと出てくる）。Ｇメン７５ばりに（古いネ）並んで歩く男たちの影が「ＲＯＮＩＮ」というロゴになる予告編を劇場で見て吹きだした覚えが（笑）。…ビーン氏のフィルモグラフィーには「武器の専門家」スペンス役と書いてあったのですが…専門家というより武器オタクで、単に銃器そのものに魅力を感じているだけのヒトらしい。軍隊経験があるように見せかけるが、慧眼デ・ニーロに見破られてあえなくクビに。ご面相が立派なだけに、だんだん化けの皮がはがれて行くところがとてもナサケナくてマル…器量の小ささを見事に表現してました。ほんとにうまいです！映画自体は、ロバート・デ・ニーロおもてなし映画という感じでいまいち…（うちのオヤジはよかったと言ってましたが…親父世代はロマンを感じるのかな？）小雪似のナターシャ・マケルホーンがなかなか魅力的でした。ジャン･レノも出てましたけど…なんか最近、このヒトを見ると笑えてしまう…（ＣＭとかで露出多過ぎ？）

『ブラック・ビューティー／黒馬物語』
良心的なファミリー映画。黒馬が生まれてから最終的に安住の地を得るまでの苦労物語。ビーン氏は黒馬くんの産婆になるファーマー・グレイ役（名前は映画には出てこないのですが、クレジットはそうなってました）最初の数分で出番は終わりですが、子馬に対するなんともいえない人のよさそうな表情が印象的。他の作品ではあまり見られなかった表情です。（『ロード…』でメリーとピピンに剣術の指南をするシーンでの笑顔が近いかな♪←大好き☆）黒馬くんの声がアラン･カミング！黒馬くんが最後にする仕事（辻馬車）でのご主人がデビッド･シューリス！…って、ワタシ的にはかなり豪華なキャストでした…。

『フールズ･ゴールド』
サブタイトルが「史上最大の金塊強奪事件」。男の頭に拳銃を突きつけるビーン氏のカッコイイお顔がプリントされた背表紙にハッとして手に取りました。と同時に、やはり数年前に、中古ビデオのワゴンセールでこの背表紙の顔に引かれて手に取ったものの、いかにもＢ級アクションスター（ごめんなさい）っぽいムードに、「きっと大したことない日本未公開映画で、このにーちゃんの顔だけがウリなんだな」と判断し、ワゴンに戻した記憶が甦りました。…あれがビーン氏だったとわ…。…そんな内容かと思いきや、実際にあった事件の顛末を、犯人の側から推測を織り交ぜて描いたもの。すごくシブい。決して「Ｂ級アクション」という感じではありませんでした。ビーン氏もリアルタイムで刑に服している実在の主犯人物を演じており、リアリティーとゆーか、生活感があってよかったです。

『スカーレット』
『風と共に去りぬ』のその後の話。スカーレット・オハラ役はジョアン・ウォーリー・キルマー。レット・バトラーはティモシー・ダルトン！（目の保養～）ビーン氏は、レットに離婚されたスカーレットが先祖の地・アイルランドに渡り、そこで関係を持つイギリス人貴族役。このヒト実はサドで、地元の娘を金で買って密かに孕ませてたり、スカーレットのいとこの神父を殺したり、悪いことは一手に引きうけて、徹底的な色悪。いやー小気味よいほど（笑）。（しかしよく脱ぐ人だ…（笑））読んだ事ないけど、ハーレクインてこんな感じ？というストーリーの薄っぺらさ…。テレビドラマだと、こんなもんでしょうか？「パディ」という言葉が、日本人に対する「ジャップ」みたいな、アイルランド人の蔑称だということがわかりました。『パトリオット・ゲーム』でビーン氏が演じたテロリストは、弟を「パディ･ボーイ」と呼んでましたが…本名でなく、別のニュアンスがあったのかな？

『ストーミー・マンデイ』
サッパリ覚えていないので再見（笑）。なんとメラニー・グリフィスの相手役で立派な主役格！うーん、でも見た当時はスティング目当てだったので、眼中になかったんですね。ニューカッスルの土地を買い上げようとするアメリカ人資本家（トミー・リー・ジョーンズ！）が、土地の売却に応じないジャズクラブのオーナー・スティングにとっちめられる話。ビーン氏はスティングのクラブに掃除夫（！）として雇われる美青年、ブレンダン役。メラニー･グリフィス演じる、ジョーンズの元情婦といい仲に。…８０年代風のモッサリ感のあるヘアスタイルやファッションは、リアルタイムから苦手でしたが、今見るとほんとに恥ずかしい…（^^;）しかし、あんなに性格も顔もいい兄ちゃんが、なぜ女もなく仕事もないのかが解せなかったです（笑）。バックグラウンドはいっさい出てこないけど、いきなり銃の扱いがうまかったりするし…（イギリス人てみんなそうなの？（笑））スティングのオーナー役もイマイチ浮いていて（私がファンだから、だけではないと思うのですが…）映画としての魅力はあまり感じませんでした。イギリス人の郷土愛（？）がテーマなので、ちょっと日本人には感情移入しにくい。でも、最近立ち読みした、いろんな監督の第一作目の裏話を集めた本（『マイ・ファースト・フィルム』だったかな？）で、これがこの監督の最初の作品だったことを知りました。当初ブレンダン役にはティム・ロスを考えていたのだが、メラニー・グリフィスのエージェントかなんかからルックスが釣り合わないと拒否され（あんまりだ…わかるけど（笑））、代わりに「彼なら釣り合う」と写真でルックスを買われてビーン氏がキャストされたことなども書いてありました。もちろん、監督は『カラヴァッジオ』その他で（ルックスだけでなく）実力を知っていたので、彼にすることに同意したそうです。トミー・リーの横暴ぶりやら、その本の方が面白かったです（笑）。

『ザ・フィールド』
アイルランドの、土地への執着に縛られた男の悲劇。主人公が開拓した土地を、その土地の法的な所有権を持つ未亡人が競売にかけることになり、アメリカに移民した人の子孫の資本家（トム・ベレンジャー！）と張り合うことに。ビーン氏はリチャード・ハリス（『パトリオット・ゲーム』ではＩＲＡのリーダーをやってましたね！）演じる主人公の息子役。実は自殺した兄がおり、兄への執着を無意識に引きずる父にスポイルされて、精神的にいびつに成長した人物です。狂言回し的な役で、これまた大好きなジョン･ハートも出演。おいしすぎ。アイルランドにとってのアメリカ、またアイルランド人のイメージ、といったものがおぼろげにつかめる気がする。リチャード･ハリス演じるその男は、神話的人物の風格あり。その悲劇もどこか神話的なメタファーを感じます。ビーン氏の息子役もすごくいい。悲しい結末です。未亡人役でフランシス･トメルティーという女優さんが出ていて、どっかで聞いた名前だけど…と思い出せずに悩んでいたのですが、翌日スティングの最初の奥さんだ！と思い出しました。

こう続けてイギリス、アイルランドが舞台の映画を見ると、出てくるアメリカ人が「大金を持って大西洋を渡ってくる奴ら」ばかりなのが面白い。逆にアメリカ映画で、アイルランドからの移民を見下す表現とかよく出てきますが…なんとなくイメージの源泉がわかってきた感じがします。

２００２／４／２７

ちょっと書きたいことがたまってしまいました…まずは『ロード･オブ･ザ・リング』！いやー、３時間以上あったのに全然退屈しませんでした。ハリポタなんかと比べては不敬罪に問われそうな、ハイクオリティー！とにかくキャストが魅力的です。原作を読んでいないので、撮影技術とイアン・マッケランだけが目当てで見に行きましたが、見た直後はヴィゴ・モーテンセン（アラゴルン）にうっとり…ソフトな声がなんとも罪、ですよねえ…。…しかし、帰ってからはもう一人のハンサムガイがじわじわ効いてきてしまいました…ボ、ボロミア～ッ！続編には出ないと思い、昨日リピーターしてきました…（でも、回想シーンで出るらしいですね。祝！）もう２，３回は見たいなあ…（笑）だってもう、完璧すぎるルックス！誰なんだこのショーン・ビーンていう人は！映画を見たのが遅かったせいで、来日記事が載ったはずの映画雑誌は月が変わってしまったし…！

…というわけで、今週は「過去の出演作品をビデオで見まくり」というのを久しぶりにやって楽しませていただいてます。ちょいと感想の覚え書きを。ビーン氏鑑賞が目的なので、映画自体の感想にはなってませんが…（笑）。

『パトリオット・ゲーム』
アイルランドのテロリスト役。王族襲撃時に同行した弟を、たまたまそこにいた（笑）ハリソン･フォードに殺され、逆恨みしまくって復習鬼に。でも、ちゃんと血が通っていて、キャラとしては主役より立っていたような。（ひいき目？）逆恨みではあるけど、気持ちはわかる、みたいな。冒頭の数十分はボロミアに近い長髪で水もしたたる男っぷり。後半はクルーカットになってちょっとマッチョっぽくなりますが、ボディーはそんなにマッチョじゃないんですよね。当然ハリソンに殺されるわけですが、死ぬ直前の切ない表情が、このアイルランド人キャラクターの悲劇の必然性を瞬時に伝えます。おかげさまで、だいぶ前に買って途中で挫折した『アイルランド～歴史と風土～』という本に再挑戦することができました。今度は興味を持って読了できそうです。多謝！役名もショーン…西欧全般で好まれる男性名だそうですが、特にアイルランド系に多い名前だそうです。同じテロリストの美女に見覚えがあって、あれー、誰だっけ～？と気になりまくったのですが、はたと思い出しました。『ロザンナのために』でマーセデス・ルールの妹をやってた人ですね！ソフィア・ローレンをかわいくしたような…まさに美女としかいいようがありません。眼福。子役時代のソーラ・バーチがハリソンの娘役。あの子があんなナイスバディーになるとは…（笑）。

『カラヴァッジオ』
いまさらデレク･ジャーマン初体験です…一時期ブームがあったので名前だけは聞いていたのですが、今まで機会がありませんでした。いやー、おかげさまでまた新しい世界が開けました…。ゲイの監督による、ゲイの実在の画家の伝記風映画。男性の全裸を美しく撮り、女性はほとんど肌をさらさないあたりに心意気を感じます。当時二十代のＭｒ．ビーン（笑）は、画家が惚れる「高嶺の花」、ラヌッチオ役。金で買われてモデルになる下品で傲慢で脆くて純情な美男、はまってます！うーん、あの完璧なルックスには、ヘルムート・バーガーに通じる、そーいう匂いを感じたのですが、やっぱり…（妙な嗅覚が利くようになってしまった…（笑））少年時代のカラヴァッジオをやった美少年だれだろう？と思ったら、デクスター・フレッチャー！『ロック・ストック・アンド・トゥー・スモーキング・バレルズ』の…！あんなカリスマ少年だったんですねえ…しみじみ。ラヌッチオの恋人役の女優さんがまたカリスマ的な美形で、お人形のようでした。他のジャーマン作品にも出ているようなので、お気に入り女優さんだったのでしょうか。まあ、それはともかく、美しさといい、危なさといい、サービス度といい（？）ビーン氏鑑賞度は１００でございます。あんまり綺麗だったんで、思わず続けて２回見ちゃったんですが、まだちょっと解釈できないところがあります。監督は故人。一時期、感覚の鋭い男性はみんなゲイ、みたいなイメージができてた時代の遺産のような感じがしました。

『ゴールデン・アイ』
ピアース･ブロスナンの００７…の、悪役。ロシア人も似合いますね。美し過ぎて、並ぶとブロスナンがカワイそう（笑）。しかし綺麗な顔で出てくるのは冒頭の数分だけで、後半は顔の半分ケロイドという…映画界ではあんまり美男だと冷遇される、という説を信じたくなりました（笑）。内容はまあ、００７ですから…。それにしても、ファムケ・ヤンセン（なんとゆーかもう…素敵な役！（笑））にジュディ・デンチって…豪華じゃないですか！しかしビーン氏、もしかして、出演作品内死亡率えらく高いタイプ？（笑）

『アンナ・カレーニナ』
有名な文芸ヒロインの不倫の相手、ヴロンスキー役。高級な味付けはしても、しょせんはしつけの悪い男女の自業自得じゃん…なんて思っちゃうあたり、ダメですねえ、私は（笑）。主演はソフィー・マルソー。ビーン氏、今回はコワモテはなしで、しかもちょっとマザコン気味。ソフト路線もいけるんですねえ。それにしてもやっぱり美男…ですねえ。フェロモン出まくりで、ちょっとサービスカットも。しかしビーン氏にイカレてる今でなければ退屈したこと必定…？（笑）

そして今手元に『ＲＯＮＩＮ』が…なんかこう、ことごとく私のアンテナにはひっかからない映画にばかり出ていらしたようで（笑）…もうすぐ公開される『サウンド・オブ・サイレンス』（余談ですが、サイモンとガーファンクルの同名曲を、昔友達がテープに入れて、『サウンド･オブ･サイエンス』と表記していたありがちな思い出が…一字違うだけなんだけどねえ…（笑））も、苦手なマイケル･ダグラス主演だしなあ…（ビーン氏出演でなかったら絶対見ないはず…（笑））『ストーミー・マンデイ』はスティング目当てで昔見ましたが、何をやっていたんだろう…まったく記憶にありません。（てゆーか映画自体いまいち印象が薄い…）

どの映画でもかっこいいんですが、やっぱりボロミアだなあ。うん、いい役だなあ…。旅の仲間の中で、一番共感できるのは彼なんですよね。自分はあれほど立派ではないし、能力もないけれど…。人間としては上等な人。だけどまさに人間らしい弱み。…弱みというのかしら。実社会では出世するタイプかもですね（笑）。自分は「選ばれた者」になる資格がない、と自覚する絶望と苦しさは、今の年になっていなければわからなかったかも。指輪は単純に「吉」でも「凶」でもなく、ただただ「重い」。重責を担うホビットは非力。リアルなものを感じます。原作を読みたいんですが、続編映画のネタバレはいやだしなあ…っていうと、読めるのは再来年？！（なまごろし…）

気がつけば壁紙もボロミアに…ベタ惚れです。（笑）

歌舞伎座の魁春さん襲名興行のことも書きたかったんですが…今日はここまで。